嗚呼、楽しきかな? OBラン  From:大芦さん(S47卒)

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 今日は待ちに待った楽しいサイクリング!
 気持ちが弾むよ、ルンルンルン♪

 集合前にコンビニに入り、ビールを買うか水を買うか迷いましたが、取り敢えず水を買いました。
 ビールは沢山必要だから、その都度途中のコンビニかなんかで買えばいいや、と思ったんでね。
 まさかコンビニのないような道を行くわけないものね。
 なんたって、おーびーらん、なんだから。

 まず最初のサプライズは、次々に集合してくる面々の自転車のすごいこと。
 ロードレーサーやら、本格的マウンテンバイクなどなど。
 ママチャリで参加する人も何人かはいるんだろう、くらいに思っていた私にはこれはショック!
 一瞬イヤな予感がはしる。
 でも千歳から支笏湖くらいなら、かるいかるい、と思うことにしました。

 走り出して20分くらいで上り坂がありましたが、こいつがあなた、登れないじゃありませんか。
 たまげました。余裕で笑いましたよ。
 「ははははは」自転車の調子悪いのかな?

 しかし、かなりの数の脳細胞をアルコールにやられているとはいえ、まだまだ頭脳明晰な私は、問題は自転車の方ではなく、それに乗っている側にあるのではないか、という仮説に気づき、やがてそれがそうに違いないという定理にアウフヘーベンされるまでに大した時間は必要としませんでした。
 多分、このロジックにリコグナイズ出来たのは私だけだったでしょう。恐ろしい事に気づいてしまったものです。

 頭が良すぎるのも考え物です。そもそも今回参加のメンバーは、私を除いて、皆東大に入れず、たかが北大を出ただけの、凡庸な頭脳しか持たない連中に過ぎません。
 対して私は、東大に断られはしましたが、されど北大出身、しかもHUCCで部長まで務めた人間、頭の構造が全く違うのです。

 老い?
 まさか! 21歳で未舗装の幌見峠をトップギアで駆け登ったこの私がまさか!
 あれからたった35年しかたっていないのに、まさか!
 あの頃よりももっと多量の酒が飲めるようになった、進歩を続ける私が、まさか!

 なだらかなはずのその坂はしかし、30数年前に登った幌見峠よりも、私的には4つ分以上きつく、それまで必死に封印していたのですが、ここに至って遂に参加したことをしみじみと後悔したのでありました。

 騙された!と思いましたね。
 だって、伴走車があって、疲れたらいつでも拾ってくれる、と聞かされて参加したのに、今になって林道は車がシャットアウトされていて通れない、だと? オンドリャー、そりゃないだろー、S54卒の○○!
 おまけに道間違えて余計に走らせおってからに! どないしてくれるんや!
 オレの青春を返せ!青春を! 今すぐ返せ!

 それにしても、ホント、自転車とはよく言ったもので、ペダルをこいでるうちは走ってるんですが漕ぐのやめると途端に止まってしまうんですね。
 イヤーびっくりしました。

 S62卒のIWA君が私に付き合って、走ってくれました。ビリッケツをね。で、彼は余裕があるから私を元気付けようとして話しかけてくれます。
 「あー、去年の台風で木が倒れて、こんなに見晴らしがよくなりましたねー」
 「鹿の足跡が随分ありますね」
 みえねー! こっちゃなんも見えねー! 見えるのは今にも止まりそうな前輪と、辛うじてゆっくりと後ろへ移動してゆく地面だけだ!

 仲間と信じたH1卒のMAは、毎日1時間の自転車通勤の底力を発揮して、とうの昔に私を置き去りにした。
 いかにもママチャリの似合いそうなS54卒のTANAは、ロードレーサーを巧みにあやつって走り去った。
 今や、私は完全に、支笏湖林道一人ぼっち、状態。今後は私をホリエと呼んでおくれ。
 そうか、S50卒のTERA。昨年君はこんな心境だったんだね。

 前を見ると道が延々と続いていてめげそうになる。
 横を向くとあまりに遅いスピードに気がめいる。
 後ろを向くとIWAがいる。
 だから下をみつめるだけ。
 水を3本入れたリュックが重い・・・・
 こりゃビール買ってても、とてもじゃないが飲めなかったな。
 よし、宿についたらしこたま飲んでやる!
 今私を支えているのは、執念にも似たその想念だけ。
 ペダルを漕ぎ続ける。いちにっ、いちにっ、ビールッ、ビールッ。

 後ろでクラクションを鳴らす車がある。
 うるせー、先に行け!
 また鳴らす。仕方がないので自転車をおりる。振り向く。何とH4卒のAOとTACHIであった!
 地獄に仏か、と思ったのもつかの間。車に乗りますか?とは言わない。ただニヤニヤしているだけ。
 たまりかねて、荷物積んでくれ、と頼む。
 背中の荷物がなくなった。急に楽になった。

 が、しばらくすると今度は常人の2倍強の脳みそが詰まった頭が重い。
 頭も積んで行け! 
 言おうと思ったが、薄情なH4卒組はすでにいない。

 あと何キロ、と考えるのはとっくにやめた。
 とにかく止まらずに4時半まで走れば到着するのだと自分で勝手に決めた。
 ところが今度は時間がすすまない。
 30分くらいたったかな、と思って時計を見ると、さっき見た時から1分しか進んでいない。
 こりゃきっと雨のせいで時計がこわれたんだな。
 秒針を見た。なんと動いている!念のため耳をあてると音も聞こえる!

 よし、次回は電動アシストつきのやつにしよう。
 ん? 何だ次回って? また走る気か?
 やめたやめた! もう金輪際自転車になど乗るものか!

 でも、同期のSUZUとSARUはなんであんなに元気なのだ?
 SARUなんて、腹出てるくせにビシッとしたサイクリングウエア着やがって!
 SUZUなんて、脚短いくせに28インチの自転車乗りやがって!
 そうだ、みっともないからやめるように同期の誼でアドバイスしてやろう!
 ・・・・・・・だめだ、追いつけねえ!
 たのむIWA。武士の情け、オレを介錯して先に行ってくれ! せめてお前だけでも生きてくれ!

 そもそものはじまりは「佐伯先生を囲む札幌OBコンパ」の時。
 酔った勢いで、今年はOBラン走るぞ、と言ったのを、折角本人は忘れていたのに、覚えている人が何人かいて、引くに引けなくなったんです。
 思えばあそこが間違いの、最初の分岐点。
 見得など張らずにあっさり引けば良かったのだ。チョット仕事が詰まっちゃってさぁ、ははは、とかなんとか、前日にでもいかにも残念そうに1本電話すりゃ済んだんだ。

 待てよ?今回も酒飲んで、来年もまた走るぞー、なんて口ばしったような気がする。
 まずい・・・・

 大体、S62卒今回幹事のTAKIが、あんなに次から次へと酒を出すからいけないのだ。
 そうだ、俺は悪くない。周囲の白い目にも負けず自らすすんで飲んだのは確かに俺だが、俺は被害者だ。
 そうなのだ。S56卒のイタリアを走ったKAWA、オレが来年も走るぞ、といった時、何故、それは無謀だ、と止めない!
 S62のBA、オレが貴君をIWAと間違ったとき、何故、先輩飲み過ぎです、と止めない!
 君らは思いやりというものを持ち合わせていないのか?
 このランを通じてやさしかったのは、消去法で残った、OBラン完走7回S59卒のMOTOだけだ。
 MOTO、有難う。今こうして生きて酒を飲めるのも君のおかげだ。ウソではない。嘘ではないが間違いかもしれない。
 来年からは、北大祭に倣ってOBランは禁酒にすることを提案したい!

 皆さん、お世話になりました。
 もう私のことは忘れてください。
 これから私は、悪夢を癒し、世の片隅でひっそりと生きて行くことにします。
 大酒飲んでバカ騒ぎなど、決してしません。赤ワインのがぶ飲みなど絶対しません。
 赤ワインなくなって11時半までウイスキー飲むなんて事は、天地神明に誓って、本当にしません。
 訳のわからんエイゴだのチューゴクゴなど二度と再び口にしません。約束します。
 だから、どうか、どうかそっとしておいてやって下さい。

 追伸。
 来年のOBランの日程及びコースはまだ未定と思います。
 サイクリングは楽しいもので、決してつらいだとか、苦しいだとかいうものではないことが今回で良くわかりました。
 これまでOBランに1度も参加したことのない諸先輩、諸後輩には、この場を借りて、是非来年は参加するようリコメンドするメッセージをセンドします。ネッ、S63卒のOBラン皆勤賞のFUKU君。
 私?
 来年も参加したい思いは誰にも負けないくらい強くあるのですが、私の場合、日程がいつに決まっても、おそらく「その日に限って」ビジネス方面がタイトで休みがとれないのではないかと、何となくそんな予感がします。

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